どんさんの日記

ちょっと昔の話からリアルタイムな話まで各種雑多な事をつらつら書いています

お得意さん

そんな羽田大好きどんさんでしたが配車が別くくりでされるワゴン車とは違い、待ち時間が長くて時間対売上を考えるとあまり分が良くない一般車での入構は不利と見て徐々に流し営業も始めるようになります。

地理的な不安はあまり無かったものの、どこに行くか?と言うとここが得意!という場所もなくw結果的に都心に入るようになりました。当時は八重洲口を中心に日本橋、銀座、虎ノ門あたりを流してましたね…競争相手も多いのでなかなか難しかったですが(>_<)

(まだこの頃は無線は取ってないです。というか怖かったw)

昼間は八重洲、行った先で乗せて戻る、を基本にしていましたが八重洲が長蛇の列になると列には並ばず辻待ちやデパートのタクシー乗り場に回る…こんな営業をしていました。

その一つ、銀座の某デパートの前もほぼいつもいる場所でした。停めるのは路駐が並んでいる中央通りの空いている隙間。ここ、中央通りから左に入った路地に停めるのもアリなんですが、いかんせんそっちだと地元の買い物客が多く、敢えてそこには行かず離れて停めて城南地区に向かうお客様を待っていました。

ここで一人の女性のお客様と顔見知りになります。時間はいつも16:00頃、ここから乗って博品館を右、コリドー街に入って新幸橋を左、ガードを越え信号を過ぎた所で降ります。この方、いつもスーツなのですが手ぶらでちょっと買い物に来た体で乗ってくるので、おつかいか何かでこのデパートまで来るんだろうな…と思っていました。

さすがに毎出番お乗せするようになると話もするようになったのですが「甘いものが好きなんでつい来ちゃうんですよね(^.^)」と、ここに来る理由を話されていました。そのうちにいつも停まっている私の車を選んで乗っていただけるようになり、ほんの10分程度ですがお菓子の話や銀座の話なんかをしながら送る…私の初めてのお得意さんが出来ました。

 

そして…この方と思いがけない所でまた会うのですが…それは次のエントリーで(^.^)

 

最長不倒距離

こんなワゴンタクシー乗務の時代を経て数年後に故あって一般車に乗ることになりました。これで晴れて流し営業も出来るようにはなったのですが…やはり仕事の中心は慣れた羽田空港になるものでw

当時も最近も同じように言われるのは

「流し営業を基本に」

「付け待ちはしない」

「待ち時間の長い乗り場は付けない」

「羽田?サボッテンジャネーヨ!!」

などと各社管理職の皆さんから嫌われている羽田空港なのですが、付け待ちも使いようだと私は考えてます。

まあ…ここらへんの営業手法の話は後ほど別エントリーで…(^.^)

 

そんなわけで当時から羽田大好きどんさんは一般車になっても羽田空港に行っていたわけですが…ここで一つ物語が生まれます。

時は平成初頭のGW。5/3です。

 

 

この日も出庫早々羽田空港へ。GWなので逆に早く出て羽田で回数やれればいいな、と普段は出ない6:00に出庫。

羽田到着が7:00。待機プールにはまだ数えるほどしか車がいない。待ちも15分くらい。これはいいぞ、と勇んで第一乗り場へ配車。で、大師。

まあまあ…とすかさず戻るとまた車がいない。すぐに第一乗り場。これが五反田。うーん…近距離じゃないけどこれはなぁ…と思いながらもまた羽田へ。

9:00前到着。プールに一杯の車wwB勤の車が押し寄せて来たのかwwwまあそれでも今日は羽田しかやらん!!と決めてるのでプール入構待機列へ並ぶ。しかし入構までに30分。全く流れないwつーか車多すぎなんだよ!!などとブツクサ言いながら結局1:30かかって第二乗り場へ配車。

するとそこにはなかなかの長さの乗車待ち列が。列を目で追っていくと自分に乗るのは中年のサラリーマンのように見える。あの人ならそこそこ行くかな…いや、世田谷ってのもあるな…などと考えていたら前方の一組の観光客がワゴンに流される。これで一人ずれたぞ…ん?後ろは…んん???白装束に金色の袈裟をかけたご年配のお坊さんとその弟子のような若い男子が数人。…うーん…池上??鶴見??…うーん(>_<)そんな事考えて見ていると乗り場のポーターがその若い男子の一人とひとしきり話した後、空になったワゴン車乗り場を見た後こっちを見て一頷きwそして乗り場へ。

「○○さん、5人乗りだよね?」

「はい、そうですよ」

「じゃあこちら5人お願いします」

来たのはやはりさっきの御一行様。トランクに5人分の荷物を目一杯入れ、前に二人、後ろに三人乗車のぎゅうぎゅう詰めでドアを閉める。

「それでは…どちらにまいりますか?」

…無言(笑)

「えーと…」「住職!」「お、そうじゃった」「行先は住職しか知らないのですからお伝えしていただかないと」

一気に喋るから訳が分からないwww

「沼津の○○寺まで」

「え!?沼津ですか???」

「沼津の駅から富士山の方に登って行くと突き当たりにあるんだがわからないか?」

そんなん知るわけないですwwwww

いきなり沼津って言われて面食らってる所にそんな地元のタクシーに言うような事言われてもwwwww

住所が分からないかと聞いても知らないとの事で、とりあえず沼津駅に行く事にして出発。

(ちなみにこの日はフロントベンチシートコラム4MTのセドリックです。それにぎゅうぎゅう詰め…(>_<))

さて…ルートは全く分からないから好きなところを通っていい、とは言われても時間は11時過ぎ、東名は御殿場先頭に30kmの渋滞、あんなのにはまったら終わるwと考え…あり得ないルートを選択。

(東名の2ルート化はまだまだ先の話ですw御殿場渋滞が当たり前の頃ですねw)

羽田から横羽線へ、三ツ沢から新道でこの段階で東名がいくらか空いていたら保土ヶ谷バイパスへ。空いてなかったら…新道から西湘バイパス、箱根新道で箱根越えで行けば混んでない!と謎の確信を持って走り始めるw

三ツ沢までは全く問題なし。新保土ヶ谷の手前の渋滞表示は…35kmになってる(>_<)…これは行くしかない…思いきりがいいんだか悪いんだかwそのまま直進してしまったww

そんなこんなをドライバーは考えているとも知れず、御一行様はお話しで盛り上がり中wこちらにも会話を振ってくるので相槌を打ちながらあれこれ聞くと…

御一行様は皆さん青森の方でお寺は違うが住職の付き人をしている

住職は特殊な能力を持っていて空中浮遊が出来る

住職に願い事をお願いすればなんでも叶う

…えーと、似たような能力を持った人が数年後に現れるんですがwwwww

まあ、付き人さんか言うにはすごい住職なんだそうでw

「では今日お会いできたのも運命ですかね?」

と聞くと

「そりゃ新幹線のおかげだぞ。グリーン車取れなかったからタクシー乗ったんだ。」

お、おう…ww

普段は新幹線で沼津まで行くそうで。でも今日はGWで取れなかったらしくタクシーで行くと住職が言い出したのでこうなった、と付き人さん。ある意味付き人さんも大変w

原宿の渋滞を越え、藤沢橋を越え、酒匂川を渡るあたりまでは車も多かったがその先は至って快適に走る。時間はここらへんで14時くらい。東名の渋滞はどうなってるのかぁ…と考えながら小田原へ。

(この当時は移動体通信が整備される以前なので交通情報はラジオと数少ない情報表示板だけが頼りでした)

箱根口辺りはさすがに混んでいたものの箱根新道に入るとガラガラ。そしてここからが大変…どう考えても重すぎるこの車、4速に入れると登らない…3速で目一杯アクセル踏んでも60kmがやっと。そしてエンジンの唸る事wこの頃になると御一行様も疲れたのか皆さん眠っていたけど、狭い車内で一人箱根の山と格闘していた私www

やがて登りきり今度は下り。幸い箱根から西は雨が降っていた。カラカラの良い天気で下りだと今度はブレーキが焼けるんじゃないかと心配していたがそれは大丈夫なよう。下りもスピードを抑えめにゆるゆる降りていく。

やがて三島の街が近づいてくる。国道1号は夕方の渋滞が始まっていた。渋滞の中、標識を見落とさないように走って行くと右に沼津駅の表示が。ここを曲がり真っ直ぐ行くとポンと沼津駅に出た。

沼津駅まで来ましたよー。ここから見てわかりますか?」

付き人さんが目を覚ます。

「…あー…あ、住職!!沼津駅ですよ!!」

…起きないw

何度声かけても起きないww

「運転手さん。ここで下りて地元のタクシーに乗り換えますかね?」

「それかいいかもですね…」

と言うわけで駅前のタクシー乗り場の先で車を停めて地元のタクシーにお願いしよう…とタクシー乗り場を見ると空車0wそれどころか乗車待ち列がとんでもない長さwwこりゃまいったな…と思っていたら車からみんなガヤガヤ降りてきた。

「運転手さん、後はこっちの車に乗るから大丈夫だ」

いつの間にか起きた住職がこちらに近づきながらそう言ってくる。

「大丈夫ですか?でもタクシーいないですよ?」

「迎えに来てもらう」

あ、そういうことかw

メーターで36000円ちょっと、有料代を入れて38000円位だったが40000円でおつりはいらないと言う。

「なかなか楽しかったぞ。ありがとう。」

と言うと挙げたトランクから荷物を出して駅構内に入っていった…

 

 

と言うわけでこれが私のタクシードライバーとして最長不倒距離仕事です。(運賃的にこれ以上のものはあるものの関東地方から出たのはこれが最初で最後です)

まあ…お客様もかなりインパクトのある方々でw今となってはどこのどなたかも分かりようもないのですが、もうちょっとどのような方だったのか知りたかったな…と思い出す度に考えます(笑)

(ちなみに帰りの東名は渋滞もなく19時過ぎには羽田に戻ってました。)

乗る理由

前のエントリーで書いた方々の次に多かったのが、全国各地から遠征してくる競輪選手の皆さんでした。

輪行袋を抱えて乗り場に近づいて来ると「えーと、今日はどこで開催だっけ?」とまずそれを考えてましたw近い所だと花月園多摩川、ちょっと離れると平塚とか西武園とか松戸。案外多かったのは千葉…話に聞くと羽田からだと千葉は行きづらく帰りも面倒だと言ってました。現地に着いてからの移動も考えるとそうなのかな…と今となって考えるとそれもありそうですが。

選手の皆さんはだいたいご陽気な方が多くて「運転手さん!!今日俺を買っておけば儲かるよ!!」なんてレース前にインサイダーまがいな事を教えてくれる方もいましたw実際に買った事はないですけどww(勝敗も推して知るべし…ですねwww)

あと多かった…というか印象に残ってるのが、釣り人。

国内海外問わず竿を持って歩いているので、どこからどう見ても釣り人w空港で見ても釣り人ww違和感ありまくりwwwでもこの人たち案外遠くに帰るんです。これは何故なのか分からないままですが…そしてお偉いさんが多い。これも何故なのか…w

遠くに帰る、って言えばお母さんと小さい子供さんっていうのもよくありました。ラッシュ時に電車はどう考えても無理ゲーですもん(>_<)私たちは快適に送り届けようと気を使いますが、普段タクシーに乗り慣れていないお母さんは恐縮しながら乗られてたりしましたから逆にこちらが恐縮してしまう事になり…

どんな人?

そもそも…どんな人が乗るの?

そこから始めますかw

私が乗務していた時にどんな所に良く居たか?

これから話しましょう。

 

もう20年以上前になりますか…初めてタクシードライバーとして働き始めたのは東京の中堅どころのタクシー会社でした。当時はワゴンタクシーなるタクシーがありまして、流し営業不可、予約営業は事前予約のみ、乗り場も都内5ヵ所のみ、その乗り場でしか営業出来ない、そんな車でデビューしたわけです。

乗り場は羽田空港、TCAT、東京駅八重洲口、上野駅正面口、ホテルニューオータニの5ヵ所だけ。流し営業は出来ませんから出庫したらどこかの乗り場に向かわないといけません。その中で私は羽田空港に行っていました。

まだ羽田空港に国内線と中華航空しか飛んでない時代ですから…ずいぶん昔の話ですね(笑)それでも海外のツーリストの方もいらっしゃいましたし(当時の中華航空はハワイ~羽田~台北の路線を持っていた)当然、日本人のお客様も国内線国際線共に沢山乗られてました。

さて…このワゴンタクシーは何が利点かと言うと、車種がいわゆるステーションワゴンなんです。荷物が沢山積めるのが利点なので海外帰りや長期旅行の帰りなどにはうってつけの車でした。皆さん色々買い込んで帰ってきますからねw

荷物を満載にしてお客様共々ご自宅やホテルまでお送りする仕事が殆どでしたが、数度変わったモノを乗せた事があります。予約仕事だったのですが…会社も品物を聞いておらずとりあえず行けとの配車wとある企業さんに着けると担当者の方が出てきて地下の駐車場に入ってください、との事。

駐車場に入り指示された場所に停めるとそこには丁寧に白い布で包まれた平べったい物体が。高さはあまりなく、大きさも1m四方くらいのモノです。これを数個、時には10個以上積み、行き先は大概地方自治体の庁舎でした。

到着するとこれをおろして庁舎の中に持って行くのですが、帰りはその布だけの時もあればそのまままた全部積んで帰る事もあってよくわからなかったのですが…とある車中で教えてもらったんです。

「これは立体模型なんですよ。これは中身は絶対に見せられないんですw」

たまに地方の市役所なんかに行くとその土地の市街地や新都市開発の立体模型とかありますよね、あれだったんです。彼ら曰く、これの出来不出来で契約が取れたり取れなかったりするくらい重要なんだそうで…

今でもたまに市役所のロビーなんかでこれを見つけると、この頃の事を思い出します(笑)

てなわけで

まず最初に書いて行きたい事…

過去の仕事の話ですかねw

東京でタクシードライバーをしていた頃…

それはそれはさまざまなお客様と出会い、喜ばれたり怒られたり感謝されたりはたまた感謝したり(^.^)

そんな話を当時の仕事の様子を絡めながら書いていきましょうか…

 

タクシードライバーの仕事ってどんなモノだと思います?

今でこそタクシードライバーさんの書いたブログなんかが沢山あるんである程度は情報もあり、なんとなくこんなのかな…( - _ - )なんて思ってる方も多いと思います。特に、このブログに行き着いた方はそんな事を検索して来てるでしょうし(笑)

一言で言うと…

「常に何かを考えている仕事」

ですね。(←抽象的すぎかなw)

出社して

今日の勤務の仕事の組み立てを考えながら出庫し

どこに行けばお客様が居るかを考え

お乗せしたら行き先までいかに早く安く(決して距離が近いのが安いとは限らない)そして快適にお送りするか

それと同時にお送りした後にどういう動きで次のお客様を探すか

そして勤務時間が終わるまで無駄なく走り(これが永遠の課題的に難しい)

無事故無違反で帰庫する

こんな感じで常に何かを考えている仕事です。

だからその日の展開や巡り合わせで思いがけないお客様と出会ったりするわけでw

そんなお客様の話を思い出しつつ書いて行きますね。